1農業公社設立の目的
昭和49年12月、鹿沼市独自の発想である「農作業の受託組織」として公益法人形態により設立された。
公社は、個々の農家が実質上の経営主体を堅持し、部分的作業を受託して作業の合理化による効率化の推進と農家所得の増大に寄与するため下記を推進する。
- ①他産業への農業従事者の流出に伴う兼業化の進行や担い手の減少へ対応する
- ②圃場整備事業の計画的な推進を支援する
- ③個々の農家の農業機械等の過剰投資を抑制する
専業農家と兼業農家の割合 【農業センサス】
専業46%兼業54%専業農家 2,540戸/兼業農家 2,940戸
専業23%兼業77%専業農家 1,169戸/兼業農家 3,897戸
2農業公社の実績
- ①農業機械の過剰投資が抑制された
- ②圃場整備等の生産基盤の整備が促進された
- ③農業労働力不足に対応した
- ④委託農家の農外収入の増加と生活向上が促進された
- ⑤園芸や畜産農家の稲作等の作業負担の軽減と専門化が促進された
- ⑥高品質で均一な低コスト型稲作生産が確立された
- ⑦拡大する生産調整に対する転作実行システムが確立された
- ⑧耕作放棄地の拡大に抑制がかけられた
3農業公社の改革の必要性
昭和50年代後半以降、GATT交渉、新食糧法への移行、農業基本法改正など農政改革が急ピッチで進展してきており、米価の値下げ、米の過剰生産、転作面積の拡大など土地利用型米麦生産体制に依存している農業公社を取り巻く環境の変化に対応する必要性が生じた。
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①農地法上の権利取得の主体になれない(農業者として認められていない)ために生じる制度的限界
- 受託組織であるため転作の団地化や担い手集積要件の対象から外れている
- 担い手への優遇措置が受けられない
- 米麦の販売、共済の加入、転作実施等に係る事務の煩雑化
②作業受託主体から経営主体への脱皮
- 農政改革は、経営体育成を基本目標としている販売権の移行による大規模生産のメリットを販売に生かす必要が生じた(販売戦略の確立)
- 『農家還元金』制度は、水稲苗販売など公社独自事業もプール計算方式であるため再編の必要が生じた
- 新たな事業に向けての資金運用の必要が生じた
③委託農家への還元金の低下
- 新食糧法等による急激な米価の低下
- 委託者の高齢化等による肥培管理のばらつき
- 転作面積の拡大 等
委託農家への還元金(10a当たり)
④世代交代や圃場整備の進展に伴う受託面積の拡大の可能性が増大
受託面積(受益戸数)
⑤担い手と連携強化・役割分担の明確化
- 農地利用合理化法人でないため農地利用調整の積極的な関与ができない
- 各地区の土地利用型担い手等との連携、役割、エリア分けなど分担が不明確
- 新たな土地利用型農業地域営農システムの検討
⑥施設と人の有効活用
- 土地利用型農業主体の経営のためカントリーエレベーター、育苗施設、大型トラクター、コンバインを有しているが年間を通した均等な作業配分に課題が生じてきた
⑦耕作放棄地への対応
- 農地有効利用のため効率的な農作物作付けによる放棄地の発生防止と解消が目的
平成7年 177ha(700戸)
⑧環境対策・地力対策への対応
- 堆肥化センターの設置(平成18年完成)により良質堆肥の生産や土壌分析に基づく土づくりの推進
- 地域の未利用有機物資源のリサイクルの推進
⑨販売、加工、交流等の新規事業への進出
- 「作る農業」から「売る農業」あわせて「市民参加型農業」への移行
- ハトムギ製品等の販売促進と麦、大豆、イチゴ、ニラ等の地域農産物を原料に新たな加工品の開発
- 余暇の拡大等による観光農園や体験農園の開設
- 農協、商工業者、農家など新たな協力関係の構築
⑩資源管理機能の強化
- 集落機能の低下に伴う水路や農道等の維持管理への支援機能
4農業公社改革の経過
- 平成11年1999年5月
- 鹿沼市農業公社基本問題調査会設置(4回開催)
- 平成12年2000年7月
- 基本問題調査会から鹿沼市に『(財)鹿沼市農業公社の改革に関する提言書』を提出
- 8月
- 『21世紀農業農村ビジョン』の策定に着手(鹿沼市)
- ☆農業公社改革促進プロジェクト検討班を設置〔検討班メンバー…県、JA、市、農業公社〕
- 平成13年2001年7月
- 『21世紀農業農村ビジョン』を策定(鹿沼市)
- ☆主要プロジェクトの一つとして「農業公社改革促進プロジェクト」が位置付けられる
- 9月
- 2つの法人の設立に向けた検討部会が設置(鹿沼市)
- ☆農地保有合理化法人設立検討部会 ☆農業生産法人設立検討部会〔検討班メンバー…県、JA、市、農業公社〕
- 11月
- 農業生産法人第1回発起人会開催
- 12月
- 農業公社が農地保有合理化法人格を取得(変更認可)
- 有限会社農業生産法人かぬまの創立総会
- 平成14年2002年1月
- 有限会社農業生産法人かぬま設立登記完了 愛称:「アグリコム かぬま」
5農業公社改革の基本的な考え方
「(財)鹿沼市農業公社改革に関する提言書」に基づき、2つの法人に分離独立化を図る。
- ①(財)鹿沼市農業公社は、農地保有合理化法人格を平成13年度中に取得する。
- ②さらに、機能拡充・改革として、平成13年度中に農業生産法人を設立し分離する。
改革前の主な機能・事業
上都賀農業協同組合
- A…農地保有合理化事業
(財)鹿沼市農業公社
- B…農作業の受託事業
- C…ハトムギ生産加工販売
- D…育苗培土の販売
改革後の主な機能・事業
(財)鹿沼市農業公社
A + 新規 1・2・3・4
新規に導入する機能
- 1…農地の一元管理機能
- 2…農業情報発信機能
- 3…土地利用型高収益作物導入の企画・立案
- 4…地域営農・生産組織育成支援機能
(農業経営支援組織)
(有)農業生産法人かぬま
B・C・D + 新規 5・6・7
新規に導入する機能
- 5…水稲・転作作物の栽培(上記B事業の変更)
- 6…土地利用型高収益作物の生産販売
- 7…ブランド米・有機低農薬作物の生産販売
(農業経営実践組織)
令和6年現在、(公財)鹿沼市農業公社では、平成25年12月に「農地中間管理事業の推進に関する法律」が制定されたことを受け、農地中間管理事業により、担い手への農地集積・集約化を推進し、地域の農地利用の最適化や規模拡大による農業経営の効率化を進めています。